▼ピックアップ情報 第1弾2013/08/27 09:00 (C) やまぎん住宅応援くらぶ事務局
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山形県は風光明媚な自然環境の中、四季折々の装いをみせてくれます。その山形らしい季節間の気温差に対し、1年を通して過ごしやすい住宅をつくるのはもちろんですが、実際に住み始めると、ライフスタイルに合った「間取り」や「収納」が重要であることがわかり始めるものです。
だからこそ、人生最大のお買物が「家」という人がほとんどの中、「建ててみて失敗した・・・」「ああすれば良かった、こうすれば良かった・・・」など、失敗・後悔はしたくありません。
『やまぎん住宅応援くらぶ』第1弾のピックアップ情報は、テレビ朝日系列で放映されている「大改造!!劇的ビフォーアフター」の"匠が選ぶビフォーアフター大賞2012"で見事ビフォーアフター大賞を受賞された設計アトリエ一級建築士事務所 代表取締役の瀬野和広さん(山形県村山市出身)に「失敗しない家づくり」についてアドバイスをいただきました。
まずは、「"暮らし"は買うものではない。」という認識を持つべきです。われわれ建築家や、住宅メーカーから供給された家を買い求めれば"幸せがついてくる"という訳ではありません。
流行やデザインなど目先だけの家づくりに捉われ過ぎず、自分の次の世代も暮らしていけるような暮らし向きの家づくりをすることが大切です。
また、土地柄をよく知ること。つまりは、"環境を読む"ということも大切なポイントです。
先ほど環境を読むと言いましたが、大きく分けて自然環境と社会環境があります。
自然環境を知ることで、敷地からの景色を活かすことや、風向きや陽当たりの検討などが可能となります。
一方、社会環境を知るということは、街並みや風土のみならず、その土地の暮らし向きなどを知ることができるため、屋根や壁などの素材の調和を図ることもできます。また社会環境の大事なひとつである隣近所との人間関係がありますが、建築家などに相談することで問題を解決できることも多々ありますので、大いに話し合うことも大事ですね。
山形では「雪」の問題がありますが、まさに土地柄を知ることで、雪を下すのか、屋根に残すのか、それぞれの場合の屋台骨の検討などが必要となります。
また、暑ければ冷房、寒ければ暖房をするというのは、特に四季の変化が明確な山形では非効率的といえます。最も効率がいいのは「パッシブデザイン」という太陽光や風などの自然エネルギーを利用する家をつくることです。
軒の長さや、吹き抜け窓などで対応し、機械や装置に頼らない「家」そのものを装置化することも大事だと思っています。機械装置はいつでも取り付けられるようにして、最初は"暑い寒い"も我慢の係数として生活の中に含んで快適な家づくりとするべきです。
人が住む家か、物が棲む家なのかを考えてみてください。もちろん人が住む家です。家を建てると生活スタイルが変わると思い込んでいる人は多いのですが、そうではありません。収納のため納戸を大きく確保するのは簡単ですが、無駄と考え、まずは物を減らす生活をする必要がありますね。それは住まい方の問題であって、住まいの問題ではないのです。
私たち建築家も、家族をみて暮らし向きの間取りを提案します。例えば、子ども部屋を2つ欲しいといわれた場合は、3人や4人出来たらどうするんですか?と逆に尋ねます。
また子ども達が部屋に閉じこもらずに家族と触れ合うスペースを設けることで、子ども達の健やかな成長を支えることも、建築家の責任であると考えています。そのため、子ども部屋はあえて間取らずロフトや共有スペースを準備する場合もあります。
使えるものは全て資源となる。悪いところは直せばいい。経済的なことを考えると中古住宅の購入や、リフォームをすることは得策であり費用対効果があるといえます。
ただし、それぞれのライフスタイルによっては、建て替えがいいなどと判断ができる場合もあります、まずは、相談することが大事ですね。繰り返すようですが、住まい方の問題であり、住まいの問題ではないということです。
家づくりのポイントについてお話してきましたが、家づくりには建て主との信頼関係を気付くことがとても大切です。互いのコミュニケーションを深め、理想とする住宅のビジョンを共有することや想定される問題点をともに解決していくことが、失敗しない家づくりの大きなポイントといえるのではないでしょうか。
瀬野和広
有限会社 設計アトリエ一級建築士事務所 代表取締役
事務所ホームページ