▼朝日町前田沢金比羅神社の獅子頭2025/11/14 16:55 (C) 獅子宿燻亭10
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2025年10月31日(金)午後3時、朝日町宮宿の「あさひ旅のココロ館」に到着した。
これから、宮宿の観光協会の事務所から車で10分程の前田沢 金比羅神社に案内をお願い
し神社所蔵の獅子頭を拝見する予定である。先日、事務局長が偶然、金比羅神社の拝殿
内を撮影し獅子頭の存在を発見し、連絡いただいた次第である。
前田沢の集落から林道に入り鬱蒼とした山道を上っていくと小高く見晴らしの良い境内
に到着した。この周辺を整備を担う吉田さんは御歳85歳だが、すぐさま倒木を伐り払った
り降り落ちるカメムシ軍団を払ったりキビキビ動く様は60代前半の機敏さだった。
真下には宮宿中学校のグランドから宮宿町内、朝日連峰まで望める見事な眺望である。
金比羅神社は宮宿の豪商 今井家由縁の神社で、舟運の守神であり五穀豊穣、商売繁盛の
ご利益もある事から全国で信仰されている。拝殿の木札に神社建立の由来が残されていた。
一般的な神社の建築構造とは違い、座敷の床の間に社名の書かれた巨大な黄金の位牌が豪
奢な厨子に納められている形である。その厨子の両側に一対の獅子頭が鎮座していた。
提供いただいた獅子の写真を見ると江戸期米沢笹野の彫師「源右衛門」と昭和期長井の
教諭 長谷部岳翁(健吉)の作とすでに推測としていた。朝日町には源右衛門の作と思われ
る獅子頭は宮宿 豊龍神社、松程沼の平の八幡神社、白鷹町十王の皇太神社、萩野大日堂に
見られる。
唯一、記名のある米沢市簗沢八雲神社の大獅子に「笹野 源右衛門 安永六年(1777年)」
とあり、この獅子頭の作風を元に獅子頭を比較し鑑定している。
長谷部健吉の作の獅子には「岳翁」という木札が付属していた。同行していただいた吉田氏
の話では長谷部健吉氏が宮宿小学校に勤務していた時代のご縁で購入したのだという。源右
衛門の獅子頭が一頭で神社を守るのは寂しかろうと吉田氏が寄贈したと話してくれた。
源右衛門の作の獅子頭でも眼光の鋭い厳つく眉に力の入った表情であるに対して、岳翁の獅
子は眉間に宝石を取り付け女性的な趣を感じる対照的な獅子一対である。
ふと4枚の襖絵に目を遣ると、七福神を描いた見事な肉筆画に気づいた。作者の印が残され
ているので後日、事務局長が専門家に調べてもらう事になった。
改めて写真をアップして見ると七福神の活きいきとした表情や筆捌き、水墨画の高度な技術が
垣間見える。おそらく旅の絵師が今井家に逗留し描かせたものだろうとの見解である。
11月に入り日が短く成り4時を過ぎると薄暗くなってきた。大の大人3人でも熊野出没が頭に
よぎり心細くなり急いで神社の戸締りをして下山した。
帰り道、神社主である今井倭子(しずこ)さん経営のカフェにお邪魔しお茶をご馳走になった。
静子さんは昭和10年代ながら若々しく闊達で元は声楽家、本場イタリア仕込みのレストランも
経営するなど今村五郎八家10代目当主であられる。オペラで鍛えた滑舌で神社の由来をお聞き
することが出来た。