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▼白鷹に垂れ耳の黒獅子発見

白鷹に垂れ耳の黒獅子発見/
白鷹町の獅子頭といえば十中八九が赤い獅子頭である。
ひょんな事から小山沢七星(しじょう)神社の黒の垂れ耳の獅子頭について情報を聞きつけた。

知人の神社総代の方に連絡を取ってみると確かに、そのお宅に垂れ耳の黒獅子が所蔵されていたのだ。
現在例祭で獅子舞に用いられている獅子頭は、以前修理に来てた。その獅子頭の見事な造形に惚れて
直ぐにレプリカの獅子頭を作らせてもらったが、まさかその他にも獅子頭が存在していたとは・・。






写真を送ってもらうと驚いた。米沢市芳泉町文殊尊に伝わる獅子頭と瓜二つだった。
文殊尊の獅子頭には塗りの際の記名が残されていて 明治七年 東町の嶋屋新兵衛とあったが彫り師の
記名は無かった。塗り替えされた時の記名の可能性がある。




米沢市芳泉町文殊尊の獅子頭


文殊尊の獅子頭は特徴的な顎の造りで、一枚板の厚みの部分に穴を開けて栓を突っ込んで口の開閉をし
ている。その作り方は白鷹町萩野の獅子頭と同じであった。



米沢市簗沢の八雲神社の大獅子に記名が有り 笹野の源右衛門の作とあり萩野の獅子の作者では無いだろ
うかと推測している。垂れ耳の黒獅子も同じ顎の構造なので同じ作者の可能性がある。簗沢八雲神社の
獅子頭には安永六年(1777)と記名が残され243年前に作られた獅子頭である。

小山沢七星は同所に立岩神社があり、合祀して立岩七星神社と呼ばれていて、地図を見ると七星神社から
南の山に位置している。立岩神社は「金山比古命(かねやまひこのみこと)金山姫命 倉稲魂命」を祀って
いることから近くに鉱山があったのだろう。柳沢の八雲神社も同じ様に鉱物資源で繁栄した時代もあり、
垂れ耳の黒獅子は上杉藩時代に米沢の彫り師に作らせ奉納されたのだろうか? 総代宅には古文書などは一
切残されていない様で残念だが謂れは分からない。後日、立岩神社に訪れてみようと考えている。


2020/09/24 13:54 (C) 獅子宿燻亭8

▼初めてコメントさせて頂きます。。

初めまして。趣味で獅子頭を始め、絵馬や民衆仏など日本各地に残る民間信仰に興味があり、こちらのサイトも過去記事含めいろいろと興味深く、様々な獅子頭を楽しく拝見させていただいております。私事になりますが、先日、ネットのオークションで四国方面から、実際にどこかの獅子舞に用いられていたと思われる傷や装置のある、八寸の古い黒獅子頭一頭を譲り受けたのですが、どう見ても私の地元である東北、岩手県三陸沿岸周辺の権現様と呼ばれる獅子頭の一種に酷似する様式の獅子頭であり、丁度こちらの記事に件の権現様に似た垂耳の黒獅子頭を発見しコメントさせていただきました。こちらの獅子頭は頭頂部に宝珠が差し込まれていたかと思われる孔が開けてあるようですが、私が所蔵する事となった獅子頭は垂耳で、宝珠でも金の鏡でもなく、朱漆の日輪に大日如来を表す梵字バンが金箔押し(もしくは金泥?)で陰刻されているもので、この様な頭頂部に梵字が刻まれた獅子頭は他に見た事がなく、こちらでなにか御存知ではないかと思い、もし宜しければご教授願えれば幸いです。 追伸:ヤフオクで見たことがある酒田系の手獅子が紹介されていましたが、今回の梵字獅子頭でそちらと競り合いになったのは私ですね。その節は申し訳ありませんでした(;^ω^)
2020/10/08 09:51:鬼喜來のさっと

▼コメント有難うございます

ご返事大変遅くなり申し訳ありませんでした。獅子宿燻亭9に移行して間も無く、ネット環境が悪化し
投稿出来ない状態でした。

驚きました!

ネットオークションで、あの獅子頭を落札を競った方とは・・・。しかも岩手の方とは重ねて驚きました。
確かに獅子頭の脳天に大日如来のお日様があるのは珍しく、梵字まで彫りこまれている獅子頭は稀で落札
でき落胆しておりました。

山形県の庄内、酒田や鶴岡にも同様のお日様が彫りこまれたら獅子頭が有るようです。南陽市宮内の日本
三大熊野と称された熊野大社の獅子も額に円形が彫りこまれ、レントゲン調査で鏡が内蔵されている事が
判明しています。私の三頭のコレクションにも円形が有りましたが、今回の梵字で謎が解けたので喜んで
います。大日如来の化身が修験道で信仰される不動明王だったとは驚きです。

先月訪れた鬼の館で岩手の鹿踊、鬼剣舞、山伏神楽を拝見し感激し、すっかり感化されて帰ってきました。
神楽の権現まいで用いる独特の獅子頭も大変興味深く、鼻筋に不動明王の剣のような物が彫り込まれている
獅子頭が有りますね。コレクションに、その剣のマークがある小さい獅子頭を所蔵しております。後日ご紹
介しますので鑑定お願い致します。また、情報ありましたら宜しくお願い致します。

2020/11/04 23:17

▼お返事有難うございます。

獅子宿燻亭樣お返事頂きありがとうございます。実は件の梵字入り獅子頭について、地元の岩手県ではご存知のように獅子頭を権現様(ごんげんさま)と呼んでいるのですが、届いてからじっくりと傷などの状態をみていると、すっかり忘却していた幼いころの記憶の記憶が蘇ってきまして、この獅子頭、恐らく私の地元のとある旧家に伝わった、幕末の安政期に出羽三山の修験者によって持ち込まれたとされるもので、三十年ほど前のバブル時代に骨董市場に流れて行方不明となって居た獅子頭ではないかと思っているんですよね。 確かまだ自分は小学生の頃でしたが、当時は踊り手が多かったため、頭数を増やすため地域の祭礼に貸し出され、その時すでに割れたり漆が剥げたり耳が取れたりして痛んでいた獅子頭の簡単な修理を行ったり、専門業者に依頼したのが、手先が器用だった今年亡くなった私の父であり、その際に間近で見て触っていた記憶があるんですよ。私が中学の頃、既に売られてしまったことが解った時、父は残念がっていましたが、確かに梵字があって珍しい権現様であったと言っていた気がするんですよね。 父も亡くなり、古い記憶過ぎて、これが事実であったかはまだ確証が持てずにいるのですが、もし売られていなければ先の東日本大震災の大津波で流失していた可能性も高く、こうして今、地元に戻って来て私の手元にあるとは・・・、なんとも不思議な権現様です。折角入手したので、今度の正月あたりに勤め先の老人ホームで新型コロナ禍で寂しい思いしている利用者を噛んであげようと企んでますが、本当は金銭的に余裕があれば、そちらに依頼して綺麗に修復してもらいたいんですが・・・(苦笑)
2020/11/10 13:26:鬼喜來のさっと

▼追記

鑑定云々は素人ですので出来ませんが(苦笑)、権現様の鼻筋にある宝剣の彫刻に関しましては、私の地元である旧仙台藩領の伊勢太神楽系の権現舞(獅子舞)や虎舞、鹿踊りの頭には見られないものであり、旧南部藩領の霊峰早池峰山周辺に伝わった早池峰神楽や黒森神楽などの山伏神楽系の獅子頭によく見られる彫刻の様ですね。 元々は鼻筋を表す皺の彫刻であったものが変化したもので、鼻先が尖っているものがあることから獅子鼻自体を宝剣、恐らくは魔除けや生殖の象徴である男性器に見立てたものと推理してますが、その代わり頭頂部の宝鏡や宝珠が表されない事が多いので、この強調された鼻の宝剣が不動明王や山神等の神仏の依り代になって居るのではないかと考えられます。私が所蔵する獅子頭の日輪も大日如来と同義であり、ネットで調べると大日如来は七頭の獅子の上に坐すると旧い密教の経典にあるんだそうですから、納得ですよね。しかもこれは慶派の大日如来坐像の獅子の装飾についての説明ですから、岩手県最古とされる宮古市黒森神社所蔵の無銘の獅子頭も雲慶作と伝わっているそうで、東北の獅子頭と慶派にはそちらの考察通り何か繋がりがあるのかも知れません。 また、よく獅子頭は剣や刀を齧ってますが、刀剣は陰陽五行説では金気であり、獅子頭は十二支の寅で木気(色は青や緑)であり、三合会局では火気の始まりですから、金剋木や水剋火の理で荒魂とされる獅子頭を押えるという呪術的目的もあるのではないかと。やはり梵字の大日如来も同じ意味で、未・申年生まれの守り本尊であり、獅子舞や鬼剣舞で、鬼や虎が猿に擬される三番叟や天狗(猿田彦)、ひょっとこ(原型はうそぶき面で黒式尉と同じ)などに鎮められる様子を表すのも、みんな陰陽五行説による申と寅の対立を表しているんですよね。
2020/11/10 13:50:鬼喜來のさっと
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