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▼第5回・黄身の色にも着色料(04,1,7)

第5回・黄身の色にも着色料(04,1,7)/
「うわっ、何だこりゃ。こんなもの食えない。」

この間、公民館事業の打ち上げですき焼きを食べようと卵を割ったときだ。小鉢の中に落とした黄身の色を見て思わず声を出してしまった。鮮やかなだいだい色。こんな色は自然じゃない。明らかに着色されている。隣で食べていた友人は何事かと思い、僕の小鉢をのぞいてきた。いや、あのね・・・。

たまごの黄身の色が着色料でコントロールされている話しはあまり知られていない。ほとんどの人は自然の色だと思っている。ところが・・・、こんなことがあった。

以前、エサとして買い求めていたアメリカ産トウモロコシに、遺伝子を組み換えたものが混ざりそうだということで、使用を中止したことがあった。代用品は「くず米」。しかし、全く予想外の所から別の問題が起こった。日を追うごとに玉子の黄身の色がうすくなっていくのだ。「たまご焼きにしても黄色いものができないよ。」「弁当のおかずがおいしそうに見えない」
玉子をとってくれている方からこんな声が届けられるようになった。

黄身の色の濃淡は、ニワトリがエサとして取り込んだ色素によって変わる。トウモロコシの黄色だけでなく、緑の草などを食べても色は増す。だから、いつもよりたくさんの草をせっせと運んだのだが色は上がらなかった。お米のもつ白っぽい色が黄身の色を淡い方に引っ張っていくのだろう。
玉子を食べてくれる方たちに訳は説明してあるのだけれど・・・少々つらい。

僕のこんな状況を聞きつけてやってきたのがエサ屋さんだ。
そんなの簡単ですよ、といいながら出したのが赤い「パプリカ」の粉が入っている子袋と、さまざまな黄身の「色見本」だった。

「菅野さんのたまごは特別なたまごですから、黄身はこの辺の色に仕上げた方がいいのではないでしょうか・その場合はエサの中にこの色素を○%入れればOKです。」
知らなかった。そんな世界があったのですねぇ。もちろん僕は使わなかったけど、ちょっとグラッとはきましたよ。

 その後、遺伝子組み換えではないトウモロコシが手に入るようになって、この問題は一段落するのだけれど、今日のたまご生産の実情を垣間見た思いがした。
以来、外でたまごを食べる機会がある時は黄身の色を注意して見るのだが、このところ色素が入っていると思えるたまごがずいぶん目に付くようになってきた。鮮やかすぎる。

消費者はこんなものを求めているのだろうか。エサ屋さんは、人は黄身の色の濃いほうがおいしそうに思うものだと言っていたが。

加工食品には添加した着色料を明記しなければならない規則がある。でも殻の表面にそんなものを書いてあるたまごなんて見たことがないから、たまごは違うのだろう。

パプリカが入っているからといって別に実害はないじゃないかと言われれば確かにそうだろうが、我々の食べ物はどんどんわけの分からないものになっていっている感じはする。鮮やか色のたまごにはニワトリさんもびっくりだろう。少なくても僕はそんなたまごは食べたくはないなぁ。


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