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親の目を盗んで買ってきたソレは重さにして30gほどの四角の物体。


しかし、その時のボクにはとても重く感じた。


冬のある日、白い息をだしながら下にいる両親に気づかれないようにマドをそっと開けた。

箱の中身を出す時、映画で覚えた仕草を真似てみた。


”トントン”


その頃のボクのあこがれはミッキー・ロークだ。映画を見てとてもかっこよく、大人の男性としてのあこがれを抱いた。


コレでボクもミッキー・ロークに一歩近づくんだ


映画では片手で火をつけたミッキー。しかし、それは外国の物であって、日本のやつでは点くわけではない。そんなことも知らなかったボクは一生懸命真似ようと必死に5本くらい試した。結局、普通にこすって火をつけるコトにした。


シュッ ボッ


あっけなく点いた。

ボクは震える手をさも慣れてるようにしようと必死だった。
特に誰に見せるわけでもないのに、自分で自分のコトが恥ずかしかったのだ。

チリチリと静かな音をたて、それは顔がわかる程度の明かりを灯した。
寒いせいの白い息とソレでの白い息とが混じり、窓の外に消えていく。


一本吸い終わるころには静かな達成感と高揚感が自分を満たした。


その頃のミッキーと同じ歳になった今、あの頃のボクはオレを見てどう思うのだろう。
2005/03/02 23:20 (C) ボク ト オレ
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