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▼映画「3.11 日常」

映画「3.11 日常」/
『3.11日常』を観てきました。

チェルノブイリの事故をきっかけに環境問題に関心を持つようになり、
以来、私が劇場に出かけて観る映画の中の、
おそらく2/3は環境問題関連のドキュメンタリーです。
もともとロマンティックな恋愛ものなどよりは
現実で起こっていることを知りたい欲求が強いので、
3.11以降はいっそう回数が増えました。

『3.11 日常』は、監督が小出裕章助教授の取材アポを
取り付けるに至った説明から始まります。
スタートから数分は、これまで私が観てきた
社会への「問題提起」や「警告」「徹底検証」という
専門性を持った映画とは少し違う戸惑いがあったのですが、
映画が進むにつれ、別の側面からリアリティを感じるようになりました。

映画に登場するのは、
原発の危険性について警鐘をならし続け、フクシマの事故によって
「私の人生は、敗北の人生です」と語る小出助教授、
女優という職業を持ちながら、
3月にはボランティア活動に出向いた水野美紀さん、
被災地でのライブを行なったミュージシャンの中川敬さん、
3.11以降ツイッターで原発について発信を始めた
音楽ジャーナリストの高橋健太郎さん、
ハンストというアクションを起こした若ものたち。
そして映画ライター、脚本などを生業にし、
今回は自ら撮影に取り組んだわたなべりんたろう氏。

3.11を境に多くの人の人生が変わりました。

映画に登場する人たちのインタビューによって、
私たち一人ひとりが「3.11」という「日常」を持って
生きていくんだということが伝わってきます。

戦後60年が経ち、8月になれば、
戦争の悲しみを風化させないようにとさまざまな反戦活動が行なわれますが、
風化させようにも風化などできない放射性物質と廃棄物は、
いったいどのくらい先の世代まで続いていくのでしょう。

映画の後半、ハンストを起こした4人の若者がでてきます。
「あなたたちの未来の負担が大きくなってしまってごめんなさい」
そう私たちがあやまらなければならない世代の人たちですが、
彼らの思考や言葉がとても救いでした。

私たちは今、原発が爆発した惑星に住んでいます。

チェルノブイリの事故処理は今なお行なわれているし、
フクシマの爆発で海に流してしまった放射性物質や
被ばくの影響はこれから本格化してくるでしょうし、
これはもう、引き戻せない現実。

途中から、このせつなさとやりきれなさに涙がでてきて
止まらなくなったのですが、
映画を観ながらしっかりと悲しみ、
即座にアクションを起こした方々の言葉を受け止めながら、
やがて、じゃあ私はこの過渡期を自分なりにどう生きようか、
という気持ちがでてきました。

私たちの日常には、
この先ずっとずっと「3.11」がついてまわるけれども、
大きくジャンプするためには、しっかりしゃがまなければならない訳で、
シフトアップするってこういうことなんだと思います。

「私は私の立場で、わたなべさんは映画の世界で、
 カメラで撮影する仕事の人も、音声を録音する仕事の人も、
 1度きりの人生。本当にやりたいことをやるために生きる」
小出助教授が大切なメッセージを語ってくれました。

いまは思考の現実化が加速している時期だから、
よき方向へと進むよう、これらからの自分の日常を
しっかりとビジュアライゼーションしたいと思います。

_______________________
映画『3.11 日常』(日本/75分)
監督:わたなべりんたろう
出演者:小出裕章、水野美紀、中川敬、高橋健太郎、他。

会場:山形まなび館 MONO SCHOOL
   山形県山形市本町1-5-19
http://www.y-manabikan.com/
日時:2012年6月30日(土) 〜8月11日(土) 期間中、
毎週土曜日上映。開場13:00/開演13:30
入場料:500円

<3.11公式ホームページ>
http://311everydayliving.com/

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